「NEWS IN GENOMICS(ジェノミクスニュース)」では、ゲノム研究や創薬の分野に関するエキサイティングなニュースをお届けしています。
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ケンブリッジ大学の植物学者たちは、キュウリモザイクウイルス(CMV)に感染した植物にハチが引き寄せられることを発見しました。このウイルスは、感染先の植物の遺伝子発現を変化させてしまいます。その結果、植物が発する香りが変化し、ハチが引き寄せられるようになります。研究者たちは、この植物の香りを再現することで、個体数を減らしつつあるハチを(作物の受粉目的に)効果的におびき寄せられると考えており、これはヒトとハチの双方にとっても有益であると述べています。
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カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)の研究者は、ウィリアムズ症候群の研究を通してヒトの社交性に関する理解を深めています。過度に社会的な行動を示すことで知られるウィリアムズ症候群は、7番染色体の遺伝子の一部が欠損していることと関係があります。研究者たちは、ウィリアムズ症候群のモデルを作成し、それを正常な細胞と比較しました。その結果、同症候群を抱える人のニューロンの樹状突起は標準よりも長く、スパインやシナプスの量も多いことが判明しました。その理由はまだ不明ですが、このモデルは解決に向けた一歩となります。
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国際研究チームは、その進化の過程で高い競争力を得るに至った変異を持つ遺伝子を同定するための取り組みとして、大腸菌の全ゲノム のシーケンシングを行いました。その結果、数々の微生物集団の世代にわたって、14,000種類を超える変異が発見されました。1988年にスタートした長期進化実験(LTEE)と呼ばれるこのプロジェクトにより、大腸菌の各集団には遺伝的差異だけでなく、何らかの類似性も見られることが判明しました。細菌の進化についての予測が可能となれば、現在も進行しているLTEEの結果をもとにマイクロバイオームと慢性感染症への理解を深めることで、ヒトの健康を促進できる可能性があります。
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先日『Nature Structural and Molecular Biology』誌に掲載された論文により、「なぜRNAではなくDNAに遺伝子情報が蓄積されているのか」という、長年にわたって科学者の頭を悩ませてきた謎が解き明かされました。双方の分子が二重らせん構造を取った場合、DNAはRNAよりも柔軟かつ動的となります。DNAはこのようなゆがみを伴う構造を持つことで、その4種類の構成要素(アデニン、グアニン、シトシン、チミン)への化学変化に対応できるようになっています。DNA二重らせん構造の動的性質を理解することは、がんと老化を防止するための鍵となります。
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『Proceedings of the Royal Society』に発表された研究によれば、鳥や亀と同様、恐竜も赤い色を認識する能力を持っていたようです。鳥や亀が赤い色を見ることを可能にさせる「赤い遺伝子」(CYP2J1)の進化の歴史をたどったところその歴史は2億5,000年前にもさかのぼるという証拠が見つかりました。これは、赤の網膜油によって赤い色合いを認識できる能力(赤視)は、恐竜が持っていた進化的特徴であることを示しています。
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『Frontiers in Microbiology』に発表された研究によると、ミツバチの健康促進のために用いられている殺虫剤「クロロタロニル」は、ハチの腸内フローラに有害となっている可能性があります。この殺虫剤は通常、ミツバチに寄生するミツバチヘギイタダニを駆除する目的で使用されますが、これによってハチの腸内フローラに変化が生じていることが研究で示されました。これによって、ミツバチの健康に欠かせない糖類とペプチドを代謝する能力が損なわれてしまいます。マイクロバイオームは、16S rRNA遺伝子のV2~V3領域をシーケンシングすることで解析されました。
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肉腫患者の遺伝子検査を行った結果、特定の遺伝子エラーは一部の家系に集中していることが判明しました。これらの遺伝子エラーは、多様ながんが発生する要因となります。検査を受けた患者の半数以上に、がんのリスク増加と関連がある遺伝子変異が少なくともひとつ見られました。この結果は、一部のがんは遺伝形質であることを示す証拠となります。
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アルコール依存症の傾向は、数百の遺伝子が関与していることが研究で示されました。インディアナ大学とパデュー大学の科学者たちは、アルコールを大量に摂取するよう育てられたラットとそうでないラットの遺伝子を比較しました。その結果、900を超える遺伝子が、ラットのアルコール依存症の傾向に関与していることが判明しました。このような情報を活用することで、人がアルコール依存症におちいる可能性を予測できるようになるばかりか、アルコール依存症を阻止できる薬理学的ソリューションの開発につながるのではないかと期待されています。
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DNA鑑定により、砂漠で暮らす象の重要な生存形質が明らかになりました。ナミビアとアフリカのサバンナに生息している象の遺伝物質には類似性が見られますが、これは砂漠で暮らす象は世代間で知識を受け継いでいることを示しています。これらの象の間では、砂漠への環境に適応するための知識(湿った砂を体にかけて温度を下げるといった行動)が継承されています。
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ペンシルベニア州大学の研究者たちは、ヒトの煙への耐性を高めている遺伝子変異を突き止めたと報告しました。ヒトは、火を使う行為(料理や暖房など)において発生する煙に幾分耐えられる進化的特徴を持つ唯一の種です。私たちの体は、煙に含まれる疎水性化合物をある程度まで処理することで、その影響を防ぐことができます。
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マサチューセッツ工科大学(MIT)の科学者たちは、マウスをエボラなどの疾病から防ぐ実験的ワクチンを開発したと報告しました。このワクチンはメッセンジャーRNA(mRNA)から構成されています。mRNAを用いて免疫反応を強制的に起こさせ、より強力な反応を誘発させることで、さまざまな疾病に対抗できるようになります。mRNAワクチンはすばやい生成が可能なため、病原体ごとに特有のカスタムワクチンも容易に生産できるものと期待されています。これらのワクチンは、ジカ熱といったウイルスのまん延の阻止において極めて重要な役割を担うことになります。
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グラスゴー大学で行われた最近の研究により、UBQLN2と呼ばれる遺伝子には、アルツハイマー病に代表される神経変性疾患の原因となる、タンパク質の塊を取り除く能力を備えていることが判明しました。タンパク質の塊が加齢と共に形成されるのは正常な現象です。私たちの体は通常、害をもたらす前にこれらの塊を分解・破壊するメカニズムを備えています。突然変異によってUBQLN2が正常に機能しなくなると、神経変性疾患が引き起こされることがこの研究によって示されました。
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ドイツの科学者たちは、命に危険を及ぼす可能性のあるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)への新たな抗生物質を発見しました。黄色ブドウ球菌は3人に1人の鼻に生息しており、通常は害をもたらすことはありませんが、まれに細菌が血流に入り込むことで深刻な感染症を引き起こします。MRSAは抗生物質への耐性を持った黄色ブドウ球菌株であり、米国だけでも毎年11,000人の命を奪っています。科学者たちは187名の入院患者の鼻を調べた結果、スタフィロコッカス・ルグドゥネンシス(Staphylococcus lugdunensis)から新たな抗生物質「ルグドゥニン」を分離することに成功しました。鼻にスタフィロコッカス・ルグドゥネンシスを持つ人は、黄色ブドウ球菌が生息している確率が6倍少ないことも判明しました。将来的にルグドゥニン鼻腔スプレーが開発されれば、鼻から黄色ブドウ球菌を除去できるようになると期待されています。
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米国とヨーロッパのイングリッシュブルドッグ102匹の調査を行ったところ、免疫関連遺伝子の多様性が失われていることが明らかになりました。イングリッシュブルドッグは呼吸障害などの健康問題を抱えやすいため、研究者は健康改善に向けて交配を進めています。イングリッシュブルドッグの遺伝的多様性が少ないということは、遺伝的変化が生じる余地があまり残されていないことを意味します。
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『Nature Microbiology』誌に発表された最新の研究に、あらゆる種の最終共通祖先の形質が、再構成ゲノムを用いて発見されたことが報告されました。地球上に現在生息しているすべての生物の入手可能ゲノムを調査したところ、最終普遍共通祖先(LUCA)は独立栄養摂取型の(鉄のような)金属成分であり、酸素のない高温環境で暮らしていたとのことです。この結果により、LUCAの存在の究明にまた一歩近づきました。
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ヒトの細胞内に存在する酵素のひとつであるテロメラーゼは、抗老化作用を持っていることから、長年「細胞の不老不死薬」と呼ばれてきました。アメリカ国立衛生研究所(NIH)とブラジルの研究者たちは、性ホルモンによってテロメラーゼの生産が促進されることを示しました。この発見を応用すれば、テロメラーゼの欠乏によって生じる疾患の治療薬を開発できる可能性があります。男性ホルモンを投与することで、再生不良性貧血および肺線維症におけるテロメラーゼ欠乏が最小限に抑えられました。
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マイクロソフトとワシントン大学の研究者は、200 MBのデータをDNA鎖に保存することに成功し、DNAストレージの新記録を塗り替えました。大規模なデータベースを利用している病院、ゲノムセンター、コールセンターなどの業界では、データストレージに対する需要が高まり続けています。このような環境の中、研究者たちはコンピューターサイエンスとバイオテクノロジーを融合することで、いつかはデータストレージとしてDNAを使用できるようになる日がやってくるものと確信しています。
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キングスカレッジロンドンの科学者たちは、DNAの違いをもとに学生の成績を予測できることを発見しました。これによると、一塩基変異多型(SNP)を使用すれば、若い学生に学力の差が生じる理由の10%を説明できるとのことです。SNPは、これらの差に関連している20,000種類の遺伝的要素にかかわっています。
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研究者たちは世界で初めて、金石併用時代のオオムギ粒のシーケンシングに成功しました。これは、再組み立てされたものの中で最古の植物ゲノムとなります。6,000年前にもさかのぼるこれらの種は、イスラエルのヨラム洞窟で見つかりました。この情報は、オオムギの農業化の歴史をひも解くうえで役に立つことでしょう。
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オックスフォード大学の研究者たちは、個人の幸福や憂鬱の感じやすさは特定の遺伝子が関与していることを発見しました。この調査では、周囲の影響の受けやすさは、これらの遺伝子によるものと結論付けられました。そのため、うつの発症に関連している遺伝子は、人によっては幸福感をもたらすものである可能性もあります。この情報は、精神疾患の発症について解明するうえで大きな手がかりとなるでしょう。
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カタールとニューヨークのワイルコーネル医科大学の遺伝子学者たちは、アラブの人々に特有の基準ゲノムを公開しました。100名のカタール人のゲノムシーケンシングを始めた当初、そのバリアントの数の多さには誰もが驚きました。カタールのベドウィンのゲノムをさらに解析したところ、アラビア半島に住むアラブ先住民は、アフリカ以外で最も古い起源を持つ集団のひとつであることが示されました。この結果により、中東における遺伝的疾患の研究と個人医療の用途が促進されることでしょう。
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ユタ大学とワシントン大学の研究者たちは、循環がんDNAのサイズは正常なDNAのサイズとは異なることを解明しました。この研究の中で、腫瘍DNAは正常なDNAよりも短いことが明らかになりました。この違いを応用すれば、液体生検において腫瘍DNAを用意に検出できるようになるでしょう。
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イスラエルの研究者たちは、コーツプラス症候群の原因を新たに特定しました。この研究の結果、STN1遺伝子の突然変異が同症候群に関わっていると結論付けられました。STN1は、染色体の末端部の維持に関与していることで知られています。この遺伝子が欠乏すると染色体同士が結合し、細胞の分裂が不可能となります。
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スタンフォード大学で実施された研究では、ビッグデータ解析を用いて、哺乳類の進化に影響を及ぼしたウイルスの全潜在能力が解明されました。これまで科学者は、ウイルスがさまざまな種およびゲノムに対する影響をどのように広めてきたかを調査するためのツールを持ち合わせていませんでした。この研究によると、ヒトが類人猿から分岐した時点以降に生じたタンパク質適応のうち、30%がウイルスに関連しているそうです。これは、人類の進化においてウイルスが大きな役割を果たしたことを示しています。
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マラリアを媒介する蚊(ガンビエハマダラカ)のオス化を司る遺伝子が特定されました。Yobと呼ばれるこの遺伝子は、メスの胚の中で発現します。この発見は、遺伝子工学を用いてオスの蚊の比率を高めるうえで有効です。オスの蚊はマラリアを媒介しないため、このアプローチによってマラリアのまん延を防ぐための対策が促進されることでしょう。
参考資料:E. Krzywinska et al., “A maleness gene in the malaria,” Science, doi.10.1126/science.aaf5605, 2016.
ウェルカムトラストサンガー研究所が実施した研究によると、赤毛の要因となる遺伝子は、黒色腫の体細胞突然変異荷重の増加にも関与しています。赤毛の人はがんのリスクが高いことは知られていましたが、この研究により、MC1R対立遺伝子と(多くの突然変異を伴う)皮膚がんとの関連性がはじめて明らかになりました。サンガー研究所では、R対立遺伝子を持つ黒色腫患者はSNVの数が多いことを報告しています。
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カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)AIDS研究所とAIDS研究センターが実施した、HIV治療における免疫療法の応用に関する研究が『Journal of Virology』に発表されました。この研究の結果、タンパク質抗体にはHIV-1細胞を破壊するキメラ抗原受容体(CAR)を作り出す能力があるというデータが示されました。これらの受容体は通常、腫瘍タンパク質または腫瘍ウイルスが含まれる細胞を破壊する機能を持っていますが、HIVにも効果があると結論付けられました。
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衝撃的な出来事(トラウマ)、事故、認知症により、記憶の一部が失われることは周知の事実ですが、記憶を失う要因として、ニューロプラスチンと呼ばれる遺伝子が新たに加わりました。研究者は、マウスのニューロプラスチン組み換え遺伝子 をオフにすることで、記憶の一部を消去できることも示しています。ニューロプラスチンをオフにすることで、マウスの脳細胞間の情報伝達が阻害されている可能性があります。
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カタイジス(Kataegis)とは、ゲノム内のいくつかの「ホットスポット」における複数の突然変異の塊を指します。カタイジスの原因は不明ですが、乳がんの全症例のおよそ55%において発生していることが判明しています。カリフォルニア大学サンディエゴ校の医学部とムーアがんセンターは、全ゲノムシーケンシング データを解析し、カタイジスの機能的重要性を分子レベルで特定しました。
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『Science』に発表された研究によると、カリフォルニア大学サンディエゴ校、スクリプス研究所、Illumina社の研究員たちは死後脳細胞のサンプルにRNA-Seq を実施したところ、複数の神経細胞サブタイプが見つかったとのことです。これまで単一ニューロン転写の研究においては、神経外科を通して新鮮な脳組織のサンプルを収集するのが一般的でしたが、この発見により、死後のヒトの脳組織からも同研究が可能なことが示されました。
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私たちの腸内には何兆もの微生物が生存しています。長きにわたり、肥満はこれらの腸内微生物と関連があることが指摘されてきましたが、その実際のメカニズムはこれまで謎でした。エール大学の研究者たちは、高脂肪食を与えたげっ歯類は、より多くの酢酸塩を生み出すことを確認しました。続けて、酢酸塩によってホルモン(ガストリンとグレリン)の生産が刺激され、これがげっ歯類の食欲を増大させることを示しました。糞便物質をげっ歯類の別の集団に移したところ、移動先の集団の腸内フローラにも変化が生じ、結果として酢酸塩の生産と食物摂取量が増加しました。
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ゲノム規模の関連研究を実施する目的で開発されたバイオインフォマティクスソフトウェアプログラムが、オックスフォード大学、人類遺伝学ウェルカムトラストセンター、カリフォルニア大学ロサンゼルス校の研究者チームによって立ち上げられました。ハプロタイプ構築を介したインピュテーションシーケンシング(STITCH)は、2000匹以上のマウスと11,000名以上の漢民族のゲノム配列 データを解析するために用いられてきました。STITCHの登場により、低カバレッジシーケンシングデータに対してもマイニングを行い、生物学的な洞察を得ることができるようになります。
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ホスピタルフォースペシャルサージェリー(HSS)の研究者たちは、全身性自己免疫疾患は遺伝的要因と関連している可能性があると発表しました。ヒトゲノム に焦点を当てた同病院の研究を通して、全身性エリテマトーデスおよびシェーグレン症候群の原因となっている可能性のある要因を突き止めました。この研究では、腎生検サンプルと唾液腺組織が用いられました。
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微生物学者のピーター・ノーブル氏は同僚と共に1000種類を超える遺伝子を評価し、生命体の遺伝子は死後数日間は生きていることを発見しました。この死後活動について調査することで、臓器保存や臓器移植のあり方を改善するための道が切り開かれるかもしれません。また、殺人事件の被害者の死亡時刻を正確に特定するための手段が生み出される可能性もあります。
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遺伝子シグネチャーを調査することで、各種薬物療法に対する乳がん細胞の感度を特定できることが、サウスカロライナ医科大学の研究によって示されました。これをもとに、それぞれの患者に合った個別薬物療法を設計することで、がんの転移を引き起こす腫瘍遺伝子に対処できるようになります。
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双極性障害を引き起こす遺伝子変異を正確に特定するために、次世代シーケンシングが用いられていることをご存知でしたか?ジョンズホプキンス大学の研究者たちはこの方法を使用して、重度の双極性障害と関連のある84種類の希少な遺伝子変異を検出しました。この研究を通して、双極性障害への罹患性について生物学的に理解を深めることができます。
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オリーブの木の寿命は3~4,000年にも及ぶことをご存知でしたか?現在オリーブの木には1,000近い品種が存在しますが、スペインの研究チームはその長寿の秘密と進化の歴史を探るため、全ゲノム / RNAシーケンシングを用いてオリーブ固有の形質を解読しました。
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カールスルーエ工科大学(KIT)の科学者たちは、生命体のDNAに存在する複数の一本鎖切断(SSB)に、ゲノム修飾を引き起こす傾向が見られることを示しました。CRISPRシステムを用いてモデル植物(シロイヌナズナ)を調査したところ、植物ゲノム修飾における分子進化メカニズムが解明されました。
個々のDNA鎖を調べるため、新たなDNA画像検査法が開発されました。この技術を用いてDNAをナノレベルで観察することで、一部のDNA損傷の原因と、それが遺伝子発現にもたらす影響を特定できるようになるでしょう。この種の情報は、特定の疾患について理解し、その有効な治療法を開発するうえで有益なものとなります。
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個別医療革命に参加したフランスは、国内全土に12棟のゲノムシーケンシングセンターを設立するために8億ドル近い投資を行いました。これらのセンターから得られるジェノミクスデータにより、がん、肥満、そして他の希少疾患に対する治療法を探す世界規模の取り組みが促進されることになります。
塩分の多い食事は健康に良くないと分かっていても、塩辛いものを食べることがやめられない人もいます。一見矛盾しているこの欲求も、遺伝子が鍵を握っているようです。ある研究によると、特定の遺伝子を取り除いたマウスは、塩分を強く欲するようになりました。ヒトについては、この遺伝子は高血圧と関連があります。
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『Nature Communications』に発表された研究によると、タンザニア、ケニア、米国、英国の研究者から構成されたチームは、キリンが持つ特徴について解明しようと、2頭のマサイキリン(学名:Giraffa camelopardalis tippelskirchi)と1頭のオカピ(Okapia johnstoni)のゲノムのシーケンシングを行いました。「私たちのチームは、2頭のメスのキリンと1頭のオスのオカピからDNAサンプルを収集し、Illumina TruSeq DNA PCR-Freeライブラリー調製キットを用いて、ペアエンドライブラリーを作成しました。その後、Illumina HiSeqプラットフォームでサンプルをシーケンシングし、その冒頭の配列リードを19,030個のウシ基準転写物とアライメントして、相同遺伝子の予測を行いました。このアプローチにより、17,210個のキリン遺伝子と17,048個のオカピ遺伝子が生成されました。」その結果、複数の適応兆候(MSA)が見られる70種類の遺伝子を同定できたほか、キリンとオカピの骨格・心血管の双方の発達を特異的に調節する、HOX、NOTCH、FGFシグナル経路内の遺伝子も特定されました。
参考資料:Agaba M, Ishengoma E, Miller WC, McGrath BC, Hudson CN, Bedoya Reina OC, et al.genome sequence reveals clues to its unique morphology and physiology.Nat Commun.2016; 7, 11519.doi:10.1038/ncomms11519>
エボラの惨劇がニュースで大きく取り上げられることはなくなりましたが、発症国の一部ではいまだに散発的な感染が生じています。国際研究チームが、2014年12月~2015年9月にかけてシエラレオネで診断されたエボラ症例のサンプル554個をシーケンシングしたところ、エボラウイルスは精液および母乳を介しても感染することが明らかになりました。研究者たちは、疾病伝播の観点で危険性は完全には去っていない可能性があるため、エボラが発症した国においてゲノムシーケンシングを実施することが重要であると結論付けました。
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あなたはいつも幸せを感じていますか?それは良い遺伝子のおかげかもしれません。研究により、個人が幸せをどのように感じるかを左右する、ヒトゲノムに存在する3種類の遺伝的バリアントが特定されました。
参考資料:Cesarini D. et al., Genetic variants associated with subjective well-being, depressive symptoms, and neuroticism identified through genome-wide analyses.Nature Genetics, 2016; DOI:10.1038/ng.3552
シンシナティ小児病院は、糞便サンプルの調査を目的としたメタゲノミクスシーケンシングプロトコルを開発しました。これは、メタゲノミクスシーケンシングが持つ力が実証された新たな事例となります。この新規プロトコルを応用して複数の薬物への耐性を持つ細菌を検出すれば、これらの細菌によって感染症がまん延するのを予防することができます。
参考資料: Andersen H et al., Use of Shotgun Metagenome Sequencing to Detect Fecal Colonization with Multi-Drug Resistant Bacteria in Children.J Clin Microbiol.2016 Apr 27. pii:JCM.02638-15.
国際研究チームはゲノムシーケンシング を用いて、古代の人々から入手した51個のサンプルを解析しました。『Nature』誌に掲載された発表内容によれば、これらのサンプルの中には4万5,000年前のものも含まれているとのことです。解析の結果、ある人類の集団が3万7,000年ほど前にヨーロッパに定住したことが示されました。そのおよそ1万4,000年後、中近東から訪れた別の集団も、暖かなヨーロッパの地に移住しました。これらの結果は、先史時代のヨーロッパでは人口の移り変わりと移住が何度も繰り返されてきたことを表していますが、これはまるで現在のヨーロッパにおける移民の状況を反映しているようです。
参考資料: Qiaomei F, et al., The genetic history of Ice Age Europe.Nature, (2016); doi:10.1038/nature17993.
『Nature』および『Nature Communications』に重要な2つの研究が発表されました。その内容は、乳がんのゲノムに対して極めて包括的な解析を実施したことで、乳がんの進行を早めるメカニズムと、その発生に関与している遺伝子についての手がかりが得られたというものです。これらの研究では、560個に及ぶ乳がん組織と正常な組織に対して比較全ゲノムシーケンシング が行われ、93種類のドライバー遺伝子に加え、DNA修復およびBRCA1 / BRCA2機能の欠損に関連する突然変異が発見されました。
参考資料:
1.Nik-Zainal S et al., Landscape of somatic mutations in 560 breast cancer whole-genome sequences.Nature, (2016); doi:10.1038/nature17676
2.Morganella S et al., The topography of mutational processes in breast cancer genomes.Nature Communications, (2016); 7 (11383) doi:10.1038/ncomms11383.
CRISPRインターフェース技法の登場は、合成生物学の急成長分野において次々に刺激的な発見がもたらされるという、新時代の到来を告げるものとなりました。ヒト、動物、そして他の生物の生殖細胞系に特異的な変化をもたらすばかりか、食用作物の遺伝子を組み替えることもできるCRISPRの能力は、医学と農業の分野において非常に大きな意味合いを持ちます。CRISPRは頂点を極めたと思われていましたが、CRISPR精密遺伝子編集会議において、特異性、効率、生産性の向上を通して一層高い精度を誇るCRISPRを複数の会社の研究者が開発しているというニュースが発表されました。