RNA-Seqは、網羅的に遺伝子発現レベルを調べ、詳細なトランスクリプトーム解析を実施するための強力な手法です。例えば、薬剤処理の効果・影響を遺伝子発現レベルで調べたり、正常型と変異体間での遺伝子発現を比較することで、ある遺伝子の下流で機能する遺伝子群を同定するのに有効です。RNA-Seqは、マイクロアレイなど、他の手法と比較してダイナミックレンジに優れ、低発現遺伝子の検出、新規遺伝子およびアイソフォームの探索、これまで研究されていない生物種のトランスクリプトームの構築にも用いることができます。
ストランド特異的RNA-Seqでは、転写物がセンス・アンチセンス鎖のどちらのDNA鎖から転写されるかが区別されます。遺伝子発現をより正しく把握するために、現在ではストランド特異的手法が推奨されており、弊社ではこれを標準仕様にしております。mRNAを対象にしたpoly-A選択法(デフォルト)のほか、ノンコ―ディングRNAを含む全遺伝子の検出(small RNAを除く)や分解が進んでいるRNAを対象にしたrRNA枯渇法、1 ngに満たないRNAに対応する超微量オプションなどをご提供しております。また、microRNAやエクソソーム由来のsmall RNAを解析することも可能です。
新規転写物アセンブリは、リファレンス配列のない生物に対して遺伝子発現解析を行うための有効な手段です。従来のマイクロアレイと異なり、転写物の配列を直接読む、次世代シークエンシングを用いた遺伝子発現解析の特長の一つです。
また、通常のショートリードのシークエンサーでなく、PacBio Sequelシリーズのロングリードシークエンサーによる解析では、アセンブリを行わずに、完全長のcDNAを決定することができ、アイソフォームの同定や遺伝子融合の正確な検出に役立ちます。
Single-cell RNA-Seq は、1,000~10,000細胞のオーダーで、細胞個々を区別して遺伝子発現解析を行います。標準的なRNA-Seqが全細胞集団にわたる平均的な遺伝子の発現状態を検出するのに対し、Single-cell RNA-Seqでは、細胞集団の不均一性や希少細胞の同定が可能になります。シングルセル解析に関連するアプリケーションとして、同一細胞でTCR/BCRの可変領域同定と遺伝子発現解析を行うシングルセルレパトア解析、細胞表面タンパク質の検出を行うCITE-Seqなどがあります。
個体発生でのシグナル伝達や腫瘍領域とそれを取り巻く免疫環境など、多くの生命現象では、その事象を空間で理解することが必要になります。これらは、従来のバルクRNA-Seqやシングルセルでの遺伝子発現解析では困難で、組織での位置情報を含めた空間的な発現解析が重要になります。NanoString GeoMx Digital Spatial Profilerを用いた解析では、H&E染色や形態マーカの免疫染色をもとに設定した、FFPEや凍結切片上の任意の領域について、遺伝子・タンパク質の発現同定が可能になります。
RNA-Seqプロジェクトでは出発材料として、total RNA(推奨)、mRNA、二本鎖cDNAのほか、細胞など各種サンプルも受け付けております。
詳しくは、サンプル提出ガイドラインをご覧ください。
Azentaは、Illumina認定のサービスプロバイダーです。IlluminaのNovaSeq/HiSeqシリーズに加えて、10X GenomicsのChromium Controller、PacBioのSequelを使用したサービスもご提供しています。詳細は次世代シークエンシングプラットフォームのページをご覧ください>